全国視聴覚教育連盟

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視聴覚教育時報 平成24年8月号(通巻674号)index

◆子ども向け図説の百科事典「訓蒙図彙」/蛭田 道春(大正大学大学院教授)

◆平成24年度 第16回視聴覚教育総合全国大会/第63回放送教育研究会全国大会 合同大会(東京大会)報告

◆平成24年度「新教育映像に関する調査研究事業」参加ライブラリー募集

◆平成24年度 全視連視聴覚教育功労表彰者

◆視聴覚教育功労者表彰 受賞者のことば/「ふるさとを学び続けて25年」富山県南砺市 池田美智子

◆視聴覚教育功労者表彰 受賞者のことば/「生涯映画鑑賞」北九州市AVEの会小倉北区会長 林田 正

◆功労者表彰式に全国から8名が参加

◆えすけーぷ

◆子ども向け図説の百科事典「訓蒙図彙」/蛭田 道春(大正大学大学院教授)

 事物のありさまを伝える手段としては、昔から巻物、掛け軸、扁額、絵本、錦絵などをあげることができる。それらのうちで、我が国で最初の子ども向けの絵本として、地蔵菩薩に内蔵されていた和本(寛文─延宝期〈1661─1681年〉刊行)のものが知られている。

 また、寺子屋の往来物に挿絵がみられるのも17世紀後半からであると考えられる。
 同様に、子どもや一般の人に、事物についてわかりやすくするために、事物の名称、その簡単な解説、図示している和本として「訓蒙図彙」があげられる。

 「訓蒙図彙」は、儒者中村タ斎によって編集され、20巻14冊、寛文6年(1666年)に山形屋から刊行された。その編集のねらいは「物ヲ覩テ名ヲ呼ヒ、名ヲ聞テ物ヲ弁ジ以テ略字様ヲ識ニ至ル」という理由からである。その内容領域は、天文、地理、居処、人物、身体、衣服、宝貨、器用、禽獣、禽鳥、龍魚、蟲介、米穀、菜蔬、果 、樹竹、花草などで、約1400事項の多岐にわたっている。

 その後、本書を増補した「頭書増補訓蒙図彙」全8冊、元禄8年(1695年)、同様に「頭書増補訓蒙図彙大成」全10冊、寛政元年(1789年)、などが刊行されている。
 最後に、世界最初であるといわている子ども向けの絵入りの絵本として、コメニウスの「世界図絵」(1658年)が有名であるが、「訓蒙図彙」はそれに遅れること数年であり、むしろ「世界図絵」に匹敵するものであると考えられる。

◆平成24年度 第16回視聴覚教育総合全国大会/第63回放送教育研究会全国大会 合同大会(東京大会)報告

 去る8月2日(木)・3日(金)の両日、第16回視聴覚教育総合全国大会並びに第63回放送教育研究会全国大会合同大会(東京大会)が、「ネットワーク社会におけるメディアとヒューマンコミュニケーション」をテーマに、国立オリンピック記念青少年総合センターにおいて開催され、参加者は、2日間で延べ1,096名にのぼりました。来年度(平成25年度)の全国大会は、平成25年10月25日(金)・26日(土)の両日、北海道旭川市内の幼・小・中・高等学校他で、第17回視聴覚教育総合全国大会・第64回放送教育研究会全国大会が開催されることとなりました。

●第1日目:テーマ別研究交流会
 大会第1日目は午後からの開始となりテーマ別研究交流会と加盟団体代表者会議を実施しました。今回の分科会では、ICT・電子黒板・豊かな表現力・生きる力・メディアコミュニティ・校内放送・デジタル教科書など、11のテーマに分け、学校教育、放送教育、社会教育の各参加者がよりきめの細かいテーマに沿った分科会を選んで参加できるよう設定しました。


第5分科会「メディアフォーラム『明日に活かすメディア・コミュニティを考える』」

●第2日目:団体別研究(功 労者表彰)、開会行事、シンポジウム
 第2日目は、午前中に5会場において団体別研究が行われ、各団体がそれぞれに抱える課題、また地域の実践についての発表や協議が行われ、講師からの助言指導を受け成果を上げることができました。また各団体の功労者表彰式は、この研究の中で執り行われました。


全視連団体別研究「デジタル化への展望〜視聴覚ライブラリーのネクストステージ」


全視連団体別研究「地域力を培う特色あるメディア活用」


団体別研究に先立って執り行われた全視連功労者表彰
(写真は愛媛県・藤本盛弘氏)

 午後の合同全体会は、カルチャー棟小ホールにおいて開会式が行われ、主催者として井上孝美視聴覚教育総合全国大会連絡協議会会長、掛川治男NHK制作局長が挨拶を行い、その後、合田隆史文部科学省生涯学習政策局長の代読による文部科学大臣祝辞をいただきました。


写真左より、合田文部科学省生涯学習政策局長、井上視聴覚教育総合全国大会連絡協議会会長

◆平成24年度「新教育映像に関する調査研究事業」参加ライブラリー募集

1. 調査研究事業の目的
 視聴覚センター・ライブラリー等視聴覚教育関係施設(以下、各視聴覚ライブラリー)の協力を募り、生涯学習に役立つ市販映像教材として、どのような作品が必要か、利用者が求める市販映像教材について調査研究を行い、その成果を教育映像制作に反映させ、作品の質的向上を図ることを目的とします。

2. 調査研究の方法
@事業協力参加の申し込み
 下記の「全視連調査研究対象作品リスト」の中から、「調査研究協力作品の内容」を参照に各視聴覚ライブラリーが選定の上、各視聴覚ライブラリーより全視連事務局へ直接参加申し込み書によりお申し込みをお願いいたします。

A「全視連調査研究対象作品」のライブラリーへの決定通知
 事務局では、お申し込みいただいた希望作品を集約し、各視聴覚ライブラリーを決定し、協力依頼をファックスまたは添付メールで通知いたします。

B「全視連調査研究対象作品」の頒布価格
 「全視連調査研究対象作品」は、各映像制作販売会社のご理解とご協力により、「調査研究価格」で提供し、調査研究をご協力いただきます。


3. 調査研究の取りまとめ
@「全視連調査研究対象作品」 に関するアンケートの実施
 応募いただいた各視聴覚ライブラリーは、それぞれの施設において、当該調査研究対象作品について事務局より後送する簡単なアンケート(A4・1枚程)を実施していただきます。

Aアンケート結果の公開
 調査研究結果は、協力映像製作会社に提供し、以後の制作の参考とするとともに、視聴覚教育時報及び全視連ホームページにPDFファイルで公開します。


4. その他
@本事業の特徴
 調査研究にご協力いただくことで、映像制作販売会社から「全視連調査研究価格」で、頒布を受けることができます。また、アンケートも簡単な1枚のもので、担当者・視聴者の別に記入いただき、結果のみをファックスまたメールで期日までにご提出いただくものです。

A本事業に関する詳細な文書を8月下旬に各加盟団体へ送付予定です。
 送付する実施要項、作品リスト、申込書、作品内容をご覧の上、お申し込みをお願いいたします。

Bこの事業に関する連絡先及 び申し込み先
〒105−0001 東京都港区虎ノ門1−19−5 虎ノ門一丁目森ビル
全視連事務局 佐藤 正  
メール info■zenshi.jp (■を"@"に変えて下さい)
TEL 03−3591−2186

◆平成24年度 全視連視聴覚教育功労表彰者

 全国視聴覚教育連盟では、各都道府県指定都市教育委員会および各加盟団体の推薦により、平成24年度 全国視聴覚教育連盟「視聴覚教育功労者」12名を決定いたしました(表彰者名簿は下記のリンクをご参照ください)。
 なお、表彰式は8月3日(金)開催の国立オリンピック記念青少年総合センターでの「視聴覚教育・放送教育全国大会・東京大会」の全視連・団体別研究会場において開催いたしました。

全視連視聴覚教育功労表彰者についてはこちらをご参照ください。

◆視聴覚教育功労者表彰 受賞者のことば/「ふるさとを学び続けて25年」富山県南砺市 池田美智子

 既報の通り、平成24年度の第16回全視連視聴覚教育功労者は、全国より12名の方々が選出され、去る8月3日、全国大会・東京大会において表彰式が執り行われました。本欄では受賞者の方々の中から代表して富山県池田氏、北九州林田氏の両氏により、受賞に際しての感想をいただきました。

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 ふるさとが大好きな6人の主婦が村の文化や歴史を学び続けて早くも25年の月日が流れました。この度は身に余る素晴らしい賞を頂き、ただ感謝の念で一杯です。サークル活動として昭和63年にふるさとを学び伝えたいと「たいら郷土学習会」をスタートしました。

 私たちが住んでいるのは通称「五箇山」と呼ばれ富山県の南西部に位置し、合掌造りで世界的にも広く知られています。昔は秘境五箇山と呼ばれ、加賀藩の流刑地で陸の孤島でした。平成7年には合掌造りが世界文化遺産に登録された事でさらに有名になり、気がつけば時代の流れと共に美しい周りの風景、風俗習慣、伝統文化にも変化が見られて来ました。変わり行く村々の生活や風景を女性の目で見つめなおし、あらためてカメラに収めようと活動を始めました。毎年一つのテーマを決め、メンバー全員が先生であり生徒で、取材して来た資料を持ち寄り一年間、又はさらに時間をかけて一つの作品として制作しました。

 最初はカメラを持つ手も危うく、ましてメンバー全員が家庭の主婦で他にも仕事を持ち不安材料は一杯でした。映写機、フィルムなどと格闘しながらも郷土の素晴らしさに改めて感動し、11作品を完成する事が出来ました。スライドフィルムからDVDの時代になり、私たちもそれらに対応して行くのも努力が必要でした。作品が学校やいろいろな所で紹介され、多くの人たちに見ていただき、そのことだけでもうれしく思っています。今まで制作した作品をDVD化し、パソコンでも見られるように変換し、昨年は作品を絵本にして発行する事が出来ました。

 これから村を担う子供たちや観光客にも私たちの作品を知ってもらい五箇山の素晴らしさを理解して欲しいと思います。たくさんの方々に長年ご指導そしてご協力して頂き改めて感謝申し上げます。

◆視聴覚教育功労者表彰 受賞者のことば/「生涯映画鑑賞」北九州市AVEの会小倉北区会長 林田 正

 AVEとは、Audio Visual Education(視聴覚教育)の略で、北九州市AVEの会は視聴覚教育振興の会です。
 北九州市AVEの会は、昭和47年に発足しました。当初は16ミリ映写技術講習会を修了した同志の集まりでしたが、会員の増加にともない、組織化をはかり、各行政区に区会組織をおき、毎月例会を開き、活動の計画や会員相互の親睦をはかっております。

 去年40周年のお祝いを盛大に開き(写真)、会の発展を誓ったばかりです。今回全視連の功労賞をいただき感謝しています。

 私、昭和30年時代に就職して、蒸気機関車の製造、保守作業携わり、国鉄も電化されて新幹線開業へ邁進する。この技術転換で電車検修員の養成が急務となり、電車検修指導書の作製など新人の養成に力を入れた。
 国鉄退職後は国立工業高等専門学校の実習工場に勤務となり、学生の専門工学上の実践的技術を身に付けた、技術者の養成に努力し、パソコンによる情報技術、機械の自動制御技術など、先端の技術を取り入れ養成に当たった。
 又、平行して北九州市AVEの会に入会して、多くの先輩の指導を受け、老人、福祉、児童等、各施設に巡回映写会を精力的に実施し、年長者の生き甲斐づくりや子供の健全育成に尽力し、市立視聴覚センター所蔵の視聴覚教材の活用普及に努めながら、映写活動に全力を上げている。

 高価なフィルムを痛めず、古い映写機の操作に注意しながら、楽しい映画鑑賞を末長く続けていきたいと思っています。
 若い人の入会と高齢者の健康に気遣いながらAVEの会の発展に努力する覚悟です。

◆功労者表彰式に全国から8名が参加

 全視連の「第15回視聴覚教育功労者」の表彰式は、去る8月3日(金)東京都渋谷区・国立オリンピック記念青少年総合センターで開催された「第16回視聴覚教育総合全国大会 第63回放送教育研究会全国大会合同大会(東京大会)」において、同所センター棟403号室の団体別研究の中で執り行われました。

 当日ご出席いただいた方々は受賞者12名のうち8名(うち代理2名)で、今回、原稿をお寄せいただいた富山県の池田氏をはじめ、遠方からも参加いただきました。

 また、今回は東日本大震災に際し、避難所での映画上映や被災視聴覚ライブラリーへの16ミリ映写機の寄贈などに尽力された「京都市視聴覚センター」に感謝状が贈られました(写真)。 

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