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視聴覚教育時報 平成24年6月号(通巻673号)index

◆教育メディアの活用に関わる諸条件/中野 照海(国際基督教大学名誉教授)

◆全国大会 全視連関係分科会 明日を目指すメディアコミュニティ

◆全視連ビジョンの策定へ

◆平成23年度調査研究報告書より 調査研究1「社会教育におけるデジタル化への展望−それぞれのNext Stageへ−」(編集部抜粋)

◆平成23年度調査研究報告書より 調査研究2「地域力を培う特色あるメディアの活用」(編集部抜粋)

◆講師派遣事業の実施 地域の教育メディア研修をバックアップ

◆視聴覚ライブラリー所有の視聴覚教材の移管や廃棄について

◆えすけーぷ

◇訃報

◆教育メディアの活用に関わる諸条件/中野 照海(国際基督教大学名誉教授)

 アメリカの雑誌『コリアーズ』の一九二五年一月号に「トーマス・エジソン学校へ行く」が、二月号には「トーマス・エジソンは映画になにを期待しているか」が掲載されている。

一月号で、エジソンは「映画の出現によって学校教育は変わると思う。想像力を働かせて、映画の教育可能性を開拓しなければならない」と述べている。

そして、二月号では「映画の娯楽や商業の面には興味がなく、願ったのは教育への貢献でした。しかし、教育関係者はこの期待に応えてくれませんでした。この10年のうちに教育の主たる道具である教科書と講義は時代遅れのものとなり、映画による教育が学校教育の主流を占めることになります」と語っている。

 しかし、その後の学校教育の推移は、エジソンの期待が実現したとはいえない。その後、多くの教育映画が作られ、通信制の学校や、放送大学も作られたが、映画や放送が学校教育の主流とはならなかった。

この理由は簡単である。学校教育の目標は多様であり、その実現の方法も多様だからである。教育は、達成すべき目標に向かって、教師、生徒、教育内容、教育方法など、多くの要素が相互に関連し合って行われる。授業の基本形態(モデル)も多数である。

授業のモデルには、「教える」ことに重点を置くものもあれば、「育つ」ことに重点を置くものもある。例えば、B・スキナーは「教えこむ」ことに重点を置き、J・ブルーナーは「考える」ことに重点を置く。C・ロジャースは「自主性が育つこと」に重点を置く。あるいは、人間関係を重視する社会的交互作用モデルでは、「人から学ぶ」ことに焦点を置く。私が現役の教師だった頃、学生に部活動に加わることを勧めたのは、若者が相互に関わることによって、愛や悲しみや歓びの経験を期待したからである。

 効果的な教育メディアの活用は、目標や学習者や授業の形態などの諸条件から判断されるべきである。エジソンが現在の授業を見ると、どんなコメントをするであろうか。

◆全国大会 全視連関係分科会 明日を目指すメディアコミュニティ

 来る8月2・3日、国立オリンピック記念青少年総合センターで開催される全国大会東京大会では、全視連関係は次のテーマ別研究交流会や団体別研究を行います(リンク先:大会要項参照)。

テーマ別研究交流会
8月2日(木)13:00〜16:00/ 場所 センター棟311号

「明日に活かすメディアコミュニティを考える」
報告
・富山県映像センター
・大分市情報学習センター
指導助言 
 妹尾剛氏(放送大学学園)
 この研究会では、地域におけるコミュニティづくりとメディアの果たす役割について協議します。なお、この研究会にゲストコメンテーターとして被災地の岩手県教委及び視聴覚ライブラリーの出席が予定されています。なお、研究会終了後、公立視聴覚センター連絡協議会総会及び全視連関係の会議が予定されていますので、関係の方々はご出席ください。

団体別研究 全視連/公視セ
8月3日(金)9:30〜12:00/ 場所 センター棟401号

「デジタル化への展望−視聴覚ライブラリーのNext Stage」
指導助言: 吉田広毅氏(常葉学園大学)
 この研究部会では、昨年度実施した調査研究について主査を務めた牧雅英氏(千葉県総合教育センター)より総括報告が行われ、具体的な事例報告については、春日部市視聴覚センターより報告されます。

「地域力を培う特色あるメディア活用」(センター棟403号)
指導助言: 伊藤敏朗氏(東京情報大学)
 この調査研究主査を務めた丸山裕輔氏(新潟県五泉市立大蒲原小学校)より、調査研究結果について総括報告が行われ、具体的な事例については、仙台市、栃木県より報告されます。

◆全視連ビジョンの策定へ

 平成21年度「全視連の組織及び推進体制の改革に関する提言」が、理事会で承認され、財政問題(加盟団体負担金等)、事業計画、組織体制の3項目について段階的に改善を図る中期計画(3カ年計画)が実施されてきました。

 その結果、加盟団体負担金の減額、広報事業の精査、講師派遣事業の新設、著作権処理のための連絡会議の設置、教育メディア利用推進会議の開催、加盟団体代表者会議の開催、ブロック別メディア研修事業支援等を3カ年計画で段階的に実施してきました。

○視聴覚ライブラリーの現状 と課題
 3カ年中期計画を検証して見ますと、やはり各加盟団体のおかれた状況が相当厳しく、新たな展開が難しいように思われます。その要因としては、いくつか考えられますが、やはり、ICT化に伴う従来の視聴覚メディアニーズの減少、さらにはそれに伴う視聴覚ライブラリーの組織廃止や統合が推測されます。

 つまり、ICT社会における視聴覚センター・ライブラリーの存在価値が明確でなく新たなメディアコミュニティでのサポーターとなるべき視聴覚センター・ライブラリーの姿が明らかでない所に問題があるように思います。

○視聴覚センター・ライブラ リーNext Stage
 全視連改革中期計画は当面した課題解決をメインに取り組んだが、大切なことは国としての方向性や施策を踏まえ、さらにグローバルな視点から・Next Stage”を考える必要があります。視聴覚ライブラリーの連合体である全視連自体のNext Stageつまりビジョンを明確にすることが重要だと考えます。

○全視連ビジョン策定委員会 の設置
 そこで、本年度事業計画の中に、これからの全視連の在り方を考える「全視連ビジョン策定委員会」を設置することが決まりました。この委員会では、すでに述べてきたようにICT化の進展を見据え、グローバルな視点から視聴覚センター・ライブラリーのNext Stageを検討し、将来ビジョンを策定する事を目的としています。

名称「全視連ビジョン策定委員会」 委員会構成

委員長
吉川刀夫
(全視連副会長)
主査
照井 始
(副専門委員長)
副主査
村上長彦
(同上)
委員
牧 雅英
(専門委員)
金丸 敦
(同上)


 委員会は数回の会合により、学識経験者の意見も聞き、ビジョンを取りまとめ、次年度常任理事会で協議し、文書理事会に報告し承認を得るようになります。

◆平成23年度調査研究報告書より 調査研究1「社会教育におけるデジタル化への展望−それぞれのNext Stageへ−」(編集部抜粋)

 昨年度、「社会教育におけるデジタル化への展望−それぞれのNext Stageへ−」及び「地域力を培う特色あるメディアの活用」を主題に調査研究を実施しました。
 今回の調査研究では、各視聴覚教育関係施設の事業推進の参考になる具体的な事例を取り上げています。

■調査研究1「社会教育におけるデジタル化への展望 −それぞれのNext Stageへ−」

 急速な社会のデジタル化の背景から、「今までの変化」でなく、「確かな変化」が求められており、各視聴覚センター・ライブラリーにおける役割や地域のニーズを再認識し、本来の目的に還り、今後の視聴覚センター・ライブラリーのNext Stageを考える研主題を設定しています。

事例:青森県総合社会教育センター
1.総合社会教育センター事業の概要
2.視聴覚教材の貸出及び自主制作教材
3.デジタル化事業
・「重点分野雇用創出事業視聴覚教材デジタル化事業」の概要
4.資料映像の保存と制作技術の向上
5.今後の課題

事例:埼玉県春日部市視聴覚センター
1.センター所有教材及び機器利用を巡る課題
・デジタル化と技術研修及び講座の実施
2.映像メディアの変遷とデジタル化の必要性と課題
3.既存収集資料・市民所有資料の活用
4.ビデオ特派員による映像の記録と収集
5.自作映像教材作成の例
6.今後に向けて

事例:千葉県総合教育センター
1.総合教育センター事業の概要
2.カリキュラム開発部メディア教育班の事業
・調査研究事業「個の学び」と「協働的な学び」の創造を図るICTの効果的な活用
・視聴覚教育関係支援事業−学校における視聴覚教材の活用等に関する指導・援助
・放送済み千葉県教育放送番組の映像資料のDVD化と貸出
3.今後に向けて  
・研究開発や調査研究、支援等の実践と成果の共有
・「それぞれのNext Stage」を創造できる「学びの場」の設定

調査研究報告書の全文はこちらから

◆平成23年度調査研究報告書より 調査研究2「地域力を培う特色あるメディアの活用」(編集部抜粋)

■調査研究2 「地域力を培う特色あるメディアの活用」

 情報化社会にフィットした特色あるメディア活用は、地域力育成にどのような役割を果たしているかを明らかにすることをねらいにしています。
 メディア活用の視野を広範にすることによって、地域力育成の問題だけではなく、それに関わる視聴覚ライブラリー・センターの活動課題にも言及しています。特色あるメディア活用の実践活動例4事例を選び提示して頂きました。

事例:茨城県におけるメディア活用
1.日立市視聴覚センターにおけるメディア活用
・小中学生のための映画鑑賞体験事業
・地域支援の出前講習会&出前映画会
2.各種上映会の実施
・名作シアタースペシャル
・キッズシアタースペシャル
3.人材育成のための映像メディアセミナー
4.ひたち映像コンクール
5.日立ふるさと再発見シリーズ制作事業

事例:栃木県におけるメディア活用
1.栃木県視聴覚教育連盟加盟ライブラリーの状況
2.宇都宮市視聴覚ライブラリーの活動例
・各種映画会の開催及び域映像の収集制作・保存
・メディアボランティアの育成
3.栃木県視聴覚教育連盟の取り組みと栃木県メディアボランティアの活動

事例:仙台市におけるメディア活用
1.学校と「せんだいメディアテーク」が連携した授業展開
2.自作視聴覚教材委託事業の実施
3.メディアの活用と培われた地域力
4.仙台市におけるメディア活用の現状と課題

事例:新潟県におけるメディア活用
1.新潟県立生涯学習推進センターのメディア活用事例
2.ニュー(ソーシャル)メディアで地域をつなぐ・拓く
・ラ・ラ・ネット「新潟県生涯学習情報提供システム」の活用
3.伝統的メディアで活力ある地域をつくる
・映画ボランティアの会の活動
4.これからの地域におけるメディア活用の在り方

調査研究報告書の全文はこちらから

◆講師派遣事業の実施 地域の教育メディア研修をバックアップ

 平成22年度より、新規事業として、加盟団体における研修・研究事業の充実を支援するために、講師派遣事業が始まりました。昨年度は、加盟団体からの講師派遣申請に基づき派遣できたのは5か所にとどまりました。

 この事業は、少しでも各地の教育メディア利用推進を支援するための事業であり、別表のように学識経験豊かな講師をお願いしてあります。

 この事業の特色は、各加盟団体が希望する教育メディア研究テーマでお願いしたいと思われる学識経験者を講師として申請できます。また、経費としては、講師申請を行う加盟団体に旅費負担をお願いし、講師謝金は全視連が負担するようになっています。

 本年度は現在、2加盟団体から申請が出ています。申請締め切りは10月5日となっておりますので、早めの申請を行って頂きたいと思います。

 詳しいことについての問い合わせは全視連事務局までお願いします。
電話 03−3591−2186
E-mail info■zenshi.jp (■を半角"@"に変えて下さい)

◆視聴覚ライブラリー所有の視聴覚教材の移管や廃棄について

 全視連各加盟団体内の視聴覚ライブラリーにおいて、組織の統廃合により他の教育施設への教材移管や老朽化による廃棄処分等が行われる所がありましたら、各視聴覚ライブラリーからの移管届や廃棄届を加盟団体にて取りまとめの上、全視連事務局へ送付くださるように、お願いいたします。
 なお、届け書類を作成に際して参考になる形式を全視連ホームページにUPしてありますので、参照下さい。

1.【移管する場合】
 視聴覚センター・ライブラリーが保有する視聴覚教材(フィルム・テープ・ディスク)を、施設の統合や廃止に伴い他教育施設に移管する場合、その視聴覚教材作品名などを「視聴覚教材の移管届け」を参考に記入し、道府県加盟団体を通じ全国視聴覚教育連盟に提出し、全視連は映像文化製作者連盟に通知して、著作物の移管が完了します。

2.【廃棄する場合】
 視聴覚センター・ライブラリーが保有する視聴覚教材(フィルム・テープ・ディスク)を、廃棄処分しようとする場合、その視聴覚教材作品名などを「視聴覚教材の廃棄届け」を参考に記入し、道府県加盟団体を通じ全国視聴覚教育連盟に提出し、全視連は映像文化製作者連盟に通知し、著作物の廃棄を完了します。

3.【届け送付先(加盟団体より送付)】
全国視聴覚教育連盟事務局(担当:佐藤)
電話 03-3591-2186
E-mail info■zenshi.jp (■を半角"@"に変えて下さい)

◆えすけーぷ

▼講師派遣事業が始まりました。講師団リストから派遣を希望する講師について希望する演題と期日等を事務局へ申請して頂き、日程調整後は、主催者と講師とで具体的な事をつめていただければよいわけです。講師謝金は全視連負担、交通費は主催者負担となります。
▼全視連改革の中期目標が本年度で終了します。
 その成果はと問われると正直想定した程の進展はなく、僅かな前進と停滞という現実に反省が残ります。
 三カ年計画の三年目です。少しでも前進できればと思っています。
 本年度、新たに「全視連ビジョン策定委員会」が発足し、・全視連Next Stage”の検討が始まります。

◇訃報

元東京都視聴覚教育連盟副会長の青木實氏は、去る2月29日逝去。享年82歳

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