視聴覚教育時報 平成23年6月号(通巻667号)index
◆生涯学習推進センターICT高層ビル構想/中島 憲一(新潟県立生涯学習推進センター所長・全国視聴覚教育連盟副会長)
◆第1回文書理事会開催 平成23年度事業計画・予算書等を承認
◆平成23年度・子どもゆめ基金助成事業 DVD教材「みんなが主役!人形劇で遊んじゃおう!」を開発
◆文化庁「平成23年度著作権セミナー」 全国13か所で開催
◆専門委員通信@「被災地の支援と復興を願う!」全視連の取り組み/全視連副専門委員長 照井 始
◆がんばれ!視聴覚ライブラリー!U 第1回 三重県視聴覚ライブラリー
◆えすけーぷ
新潟県立生涯学習推進センターは、新潟市中心市街地に隣接しながら鳥屋野潟のほとりの自然豊かなエリアに位置しています。 「生涯学習推進を担う人材を育てること」と「生涯学習情報の提供並びに生涯学習環境の充実を図ること」を主な目的とする当センターが高層ビルに入り、すべての施設を活用できたら、どんなことができるかを考えてみました。
関係機関やいろいろな団体の拠点となる事務局スペース、関係機関や団体が情報交換を行う会議室スペース、多種多様なイベントや学習会を開催できる学習スペースなどなど、さまざまな活用方法が頭をよぎります。
しかし、リスクばかりが先に思い浮かび、どれもウキウキするような魅力的なアイディアには発展しません。
当センターでは、今年度生涯学習情報提供システム「ラ・ラ・ネット」の再構築に際し、インターネット上に新潟県立生涯学習推進センターを構築することを構想しています。
閑静な鳥屋野潟湖畔にある二階建ての現施設を、オフサイトミーティングの会場とすることを前提にした、インターネット上のセンターには高層ビル以上の可能性を期待しています。
昨今のICTの機能の進歩と利用者の拡大には目を見張るものがあります。これだけ普及してきたICTの機能を本格的に活用していく効果は大きいと考えています。
ICT新潟県立生涯学習推進センター(仮称)では、主に、インフォメーション、データベース、コミュニティの3つの機能の充実を目指しています。
但し、インターネットの世界では、いつも影の部分に対する不安が付きまといます。 常に公開が前提とされているインターネットの常識はありますが、不安を軽減するためにも、必要に応じて対象者にのみ開かれたネットワークを、積極的に活用していくことも有効であると考えています。
また、ネットワークの向こうに仲間がいることを前提とした、フェイストゥフェイスのコミュニケーションを重視していくことも確認しあっています。
第1回常任理事会において原案が承認された、平成23年度事業計画書案及び収支予算書案を、第1回文書理事会へ提出し、この度承認されました。
全視連活動の基本方針として「事業推進にあたり、生涯学習の充実を図るために、情報化社会に対応した教育メディア環境の整備や、その活用を推進することの社会的・教育的意義を再確認し、情報通信、放送等と融合した新たな教育メディア利用の普及に努める。
そのため、各都道府県視聴覚教育連絡協議会との連携協力体制を確立し、地域における教育メディア関係施設活動の活性化を支援する。」
以上のような考え方に基づき次のような事業を盛り込んでいます。
事業計画の概要
■平成23年度・第15回視聴覚教育総合全国大会の開催(外部サイト参照)
平成23年度・第15回視聴覚教育総合全国大会を開催するにあたり、生涯学習部門として“学習を変えるデジタルメディアの利用”を始め、教育メディア利用活動の推進を図るための研究協議等の可能性について検討を行っております。
期日:11月11日(金)
会場:仙台市青年文化センター
なお、全視連独自で、前日10日(木)に理事会及び研究協議会を行う準備を進めています。
■全国視聴覚教育連盟ー視聴覚教育功労者の表彰
第14回視聴覚教育功労者の表彰の表彰を行う。
表彰式は全国大会の中で行う予定になっています。
■生涯学習メディア利用研究会【新】
教育メディア関係団体等との協働により、生涯学習におけるメディア利用に関する研修・研究会を2拠点において実施する。
■ブロック別メディア研修・研究会支援事業の実施【改】
各加盟団体が実施している教育メディア研修・研究会の充実を図るため支援を行う。
■講師派遣事業の実施
前記の研究会・研修会を一層有意義なものにするため、全視連において組織する“全視連指導協力者会議”の学識経験者より、要請に応じて講師の派遣を行うようにする。
■教育メディア利用推進のための調査及び支援事業(緊急)
東日本を中心に、今回被災した自治体の視聴覚センター・ライブラリーにおける機材・教材の損壊状況を調査し、関係団体との協働により可能な支援を行う。
■新教育映像利用に関する調査研究
生涯学習に役立つ市販映像教材としてどのような作品が必要か、利用者が求める市販映像教材について調査研究を行う。
■調査研究事業
・調査研究1「生涯学習におけるデジタルメディアの活用V」
・調査研究2「地域貢献型メディアボランティア活動の在り方」
■全視連企画教材の制作と頒布
生涯学習機会において有効に活用できるデジタル教材を、全視連が自主的に企画し、教材制作団体との協力連携のもとに制作し、頒布する事業を実施する。
■平成23年度子どもゆめ基金助成事業(下記参照)
「子どもゆめ基金」(独立行政法人国立青少年教育振興機構)の助成によりDVD教材「みんなが主役!人形劇で遊んじゃおう!」の制作と配布を行う。
■広報活動
・「視聴覚教育時報」の隔月刊行(偶数月)
・メールマガジンの配信
・月刊視聴覚教育「全視連だより」及びホームページ「ブログ全視連」による情報発信
共催事業
■全国自作視聴覚教材コンクール
日本視聴覚教育協会、全国視聴覚教育連盟、日本学校視聴覚教育連盟、全国高等学校メディア教育研究協議会の共催で実施する。
部門及び参加作品│幼・小学校、中学校、高等学校、社会教育、の4部門対象の、映画・スライド・TP・録音・ビデオ・コンピュータソフト等の自作視聴覚教材。
以上のほかに、定例会議として第2回理事会、同常任理事会、専門委員会等を予定しています。
昨年度のDVD教材「みんなに元気をあげよう!チアロビクス」に引き続き、本年度は「みんなが主役!人形劇で遊んじゃおう!」を開発することとなりました。
◆人形劇の体験を通して、自己表現力が豊かな子どもに
このDVD教材では子ども向けに「人形の作り方」と「人形の操作方法」を紹介し、友だち同士で人形劇を楽しく体験することを目的としています。この体験を通して子どもたちに必要な自分の思いを相手に伝える「表現力」が身につき、子ども同士のコミュニケーション能力を大きく成長させるのに役立ちます。本教材では、具体的な人形劇を成功させるために必要な役割分担の方法・上手なチームワークのポイントなどもていねいに紹介しています。
◆DVDで「人形制作のポイント」「人形操作のこつ」を効果的に体得
DVDは、メニュー画面から学びたい映像を瞬時に高画質で再生でき、再生途中のリプレイや一時停止、綺麗なコマ送り再生やスローモーション再生などが機敏にできるので、人形操作の細かな動きも子どもたちが理解しやすく、大型テレビを利用したグループ学習にも高い効果を発揮します。
開発した教材は、児童が利用できる各地域の児童館・児童センター(約2、100)、視聴覚センター・ライブラリー(約700)に無料配布し、公共施設のイベント活動や貸出による地域活動の活性化にご活用いただきます。
文化庁では、著作権に関する基礎的な理解を深め、もって著作権制度の知識や意識の向上を図ることを目的に全国13か所にて、標記セミナーを開催する。
〈期日・会場〉
◯8月9日(火)
ウェディングプラザ アラスカ(青森市新町1ー11ー22)
◯11月18日(金)
千葉市ビジネス支援センター(千葉市中央区中央4ー5ー1)
◯8月23日(火)
新潟県立生涯学習推進センター(新潟市中央区女池南3ー1ー2)
◯10月25日(火)
石川県地場産業振興センター新館(石川県金沢市鞍月2ー20)
◯8月25日(木)
岐阜県庁大会議室(岐阜県岐阜市藪田南2ー1ー1)
◯9月14日(水)
ウィルあいち(名古屋市東区上堅杉町1)
◯12月7日(水)
男女共同参画センター「フレンテみえ」(三重県津市一身田町1234)
◯10月11日(火)
コラボしが21大会議室(滋賀県大津市打出浜2ー1)
◯7月29日(金)
ソフィア堺(堺市中区深井清水町1426)
◯8月4日(木)
国際ファミリープラザ(鳥取県米子市加茂町2ー180)
◯11月15日(火)
山口県健康づくりセンター(山口県山口市吉敷下東3ー1ー1)
◯8月19日(金)
愛媛大学(愛媛県松山市文京町3)
◯11月8日(火)
高知城ホール(高知県高知市丸ノ内2ー1ー10)
〈対象〉
一般、図書館職員、教職員、行政職員、美術館・博物館等職員。参加費・テキスト等も無料で配布。詳細は、下記を参照のこと。
〈問い合わせ先〉
文化庁長官官房著作権課
TEL 03ー5253ー4111(内線3169)
本号より5回にわたって全国視聴覚教育連盟専門委員の方々に、所属先の活動、事業、特色等の紹介、または社会教育における視聴覚教育に関する情報提供や提案などの原稿を執筆いただきます。
このたびの未曾有の巨大地震と大津波により、被害を受けられた東日本各地の皆様及び関係者の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
以来、三か月以上経過しましたが、依然、余震が続き、或いは原発の深刻な状況下で、未だに不自由な暮らしをされている方々の苦しみと不安はいかばかりかとお察しいたします。
災害を受けた地域の視聴覚教育関係や生涯学習関係の皆様には、各自治体で市町村民のために、懸命な復興努力をされている事と思います。
全視連と致しましては、できる限りの協力支援をし、心から復興を願っています。
■「支援のための状況把握」
◎被災地域の視聴覚センター・ライブラリーに「被災状況調査」を実施しました。
*被災地域の状況がすべて把握できていませんが、概ね事業活動を行っている視聴覚ライブラリーが半数以上になっています。
*事業再開の目途がついた視聴覚ライブラリーも合わせると大多数が復旧していることが分かりました。
*津波で、映写機材、投影装置等が壊滅状態との報告もあります。
*機材のみならず、映画・録画教材もすべて流出してしまった視聴覚ライブラリーもあります。
*地震で、教材の収納棚が倒れ、録画教材がかなり破損した視聴覚ライブラリーもあります。
*原発の避難区域に指定され、全く活動目途の無い視聴覚ライブラリーもあります。
■「連携と支援の取り組み」
◎「被災状況調査」の結果を受けて、「教育メディア利用推進会議」を新たに開催します。
*社会教育及び教育メディア関係団体との連携により、生涯学習における教育メディアを推進するための方策及び活動について、早急に協議します。
*被災視聴覚ライブラリー等の支援のために具体的な方策について協議し、可能な限り実行します。
*各企業は、子ども(学校)支援の災害援助(ICT機器も含む)に、すでに動き出しています。
*教育施設に対する文具(マーカー等)、消耗品(チョーク等)などのサポートも検討します。
*文化的保存など、「コンテンツの保存方法」についても支援すべきと考えています。
*修理できるものは、部品等の調達をして、スタッフが現地でサポートできる工夫をしていくつもりです。
*京都市視聴覚センターは、5月GWに被災避難所で、「映画会」を実施しました。
■「東日本の復興を願って!」
「集まろう仙台へ!」
◎今年度の視聴覚教育総合全国大会は、「ネットワーク社会におけるメディアとヒューマンコミュニケーションー豊かな学びを創るデジタル時代のメディア教育ー」をテーマに、被災地の仙台市で開催されます。
*震災後、全国大会開催が心配されましたが、地元仙台市が積極的に大会開催に努力され、11月に開催される事になりました。
*予定された会場等の補修など不確定なものもありますが、地元仙台市の意気込みを強く感じています。
◎今年度の総合全国大会は、「東日本の復興を願って!」、全国から「集まろう仙台へ!」を合言葉にしましょう!
*全視連の分科会等では、被災地から生々しい報告や復旧・復興へのご尽力を伺い、全国各地での災害への心構えを意識する貴重な大会としたいと考えています。
◎被災地仙台で開催される総合全国大会が、実りの多い大会となるように、全視連を支える全国の仲間が集い、被災地域への熱いエールを送りましょう!
【沿革】
三重県視聴覚ライブラリーは昭和34年、三重県庁内に設置され、県内の学校をはじめとした各団体への視聴覚教材・機材の貸出サービスを開始しました。その後、平成6年にオープンした三重県生涯学習センター内に移設され、現在に至ります。また三重県生涯学習センターは平成16年10月から指定管理者制度が導入され、現在、財団法人三重県文化振興事業団が第3期目の指定を受け運営しています。
【業務内容(教材機材貸出・映画会・上映ボランティア・PR)】
当ライブラリーでは、視聴覚教材・機材の貸出を中心に、教材活用とPRの場としての「名作映画会」を年6回、子ども向けの「アニメ映画会」を夏休み期間に1回と、普段映画を見る機会が少ない方を対象に映像に触れる機会をお届けする「移動映画会」を随時開催しています。県内の子育て支援センターや特別支援学校等の施設と共催で実施する「移動映画会」では、今後もライブラリー教材を活用しての主体的な上映会を行っていただけるよう、簡単な「映写技術講習」も現地で開催しています。また各映画会では、上映ボランティアが機器の操作や運営に携わっています。
近年、より多くの団体に活用していただけるよう広報にも力を入れており、所蔵する全ての教材を分類し掲載した冊子「映像教材目録」を発行し、利用団体、新規登録団体へお配りしています。タイムリーな情報発信にも心がけ、新着教材やおすすめ教材をホームページやブログ、ツイッター等でPRしています。併設の強みを活かし、生涯学習センターで開催される講座の内容に関連した教材紹介チラシや利用団体のニーズに合わせた内容のチラシも随時作成しています。指定管理者制度導入後、貸出期間を8日間から15日間まで延長するなど利用者のニーズや利用実態に合わせた利用規則の変更などにも取り組んでいます。
【現状の課題】
映像メディアがDVDに変わってきていることなどから、所蔵教材の大半であるビデオテープや16ミリフィルムの利用率が低下しています。そのため、再生機器等の貸出も積極的にPRしていますが、肝心の16ミリ映写機やビデオデッキの故障・老朽化や、メーカーの生産ラインの終了によりサービス内容の維持が難しくなってきています。
【今後の展開】
現在三重県内ではライブラリーが閉鎖されている市町が多くなってきています。県内全域をカバーした唯一のライブラリーとして、各団体へ視聴覚教材を活用した新しい学習コンテンツを提案・支援していきたいと考えています。
○被災地の視聴覚ライブラリーの被害状況報告が集約されました。映写機やプロジェクターが使用不可能、録画教材が使用不能などなど心配していた被災状況の調査結果が報告されてきています。同じ視聴覚ライブラリーの仲間として、どのような支援をしたらよいか早急に協議し、支援活動を行いたいと思っています。
○このたびの大震災は、全国大会の開催に、大きな影響を与え、全視連としても開催方法、内容等の再検討を余儀なくされています。
しかし、前向きに考えると、全国大会とは何かを真剣に考える機会になったように思います。
○さて、全視連活動の中核となる専門委員が新たに委嘱され活躍が期待されます。
できれば、メンバーを増員したかったのですが、状況が厳しく次年度に見送りになりました。
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