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視聴覚教育時報 平成22年12月号(通巻664号)index◆教科書の電子化を議論する前に考えておくべきこと/坂井 滋和(早稲田大学大学院国際情報通信研究科 教授) ◆文部科学省情報 平成23年度教育の情報化関係予算(案)について ◆教科書の電子化を議論する前に考えておくべきこと/坂井 滋和(早稲田大学大学院国際情報通信研究科 教授)最近は学校教科書の電子化に関する議論が活発に行われています。『教育の高度化、柔軟性と経済合理性を両立するために電子化は必須』との賛成派の意見に対して、反対派は、『教育を合理性で割り切ることは不可能。便利さ・容易さは学習能力を低下させる』と指摘します。どちらの意見も頷ける所があり可否の判断が難しい問題です。 この問題について考える時、現代の子ども達が学ぶべき知識・情報の量を考慮する必要があります。わが国において現在の6・3・3・4制が学校教育法によって施行されたのが1947年、既に60年以上の月日が経ちました。この間に世界は大きな変化・発展を遂げました。 科学技術分野では、トランジスタの発明やコンピュータの誕生から、原子力発電、人工衛星、DNAの発見、ICの発明、マルチメディア、インターネット、再生医療など、あらゆる面で大きく発展し、これらは教育内容や知識量に大きな影響を与えています。 また国際情勢を振返って見ると、例えばアジアにおいてはインドの独立が、47年、翌年は北朝鮮の独立宣言、そして中華人民共和国建国と続きます。日本とタイを除くアジアの国々は、40年代以後の独立国です。そして今これらの国々が世界の政治・経済に大きな影響を与える重要な地域となっています。 あるいは語学の分野においては、英語の重要性が再認識され、小学校でも英語の授業が必修となるようです。しかし世界人口の20%を占める中国人、20年以内に世界人口の25%を占めるであろうアラブ語圏の人々についても無視することは出来ませんから、子ども達が身に付けるべき外国語がそのうちまた増えるかもしれません。 このように、学校教育法が施行されてからの約60年間に子ども達が学ぶべき知識の量はかなり増えました。いったいどれくらい増えたのか一度検証してみる必要があるでしょう。その上で、今後も増え続ける知識・情報量に教育はどのように対応してゆくのか考えてみる必要があると思います。今後の視聴覚教育発展のヒントがこの辺りにあるのではないでしょうか。 ◆全視連事業推進のための中期目標を策定平成20年度にまとめられた「全視連の組織及び推進体制の改革に関する提言」は、翌年設置された特別委員会で協議され「全視連特別委員会報告」となった。同提言は、近未来型情報化社会を見通した全視連の改革計画として、以下のような提言が行われました。 (1)近未来型情報化社会を見通し、第2転換期にある全視連の組織体制を再検討 (2)生涯学習の充実を図るため、多様なインターフェィス環境による映像コンテンツ利用体制を視野に入れた全視連事業の再検討 (3)ICT新改革戦略を踏まえた教育メディア利用推進体制の確立 (4)地域視聴覚ライブラリー機能の見直しと新たな指針試案を策定 (5)公立視聴覚センター組織の在り方について再検討 以上5項目について、段階的に取り組むことになり、本年度を第1年次とする規約改定を含む新たな事業計画を策定し、実施いたしました。 そこで、次年度以降の取り組みを含めて、中期的な展望を持ち、段階的に確実な改革を進めるために、進むべき方向を示す、次のような中期目標を策定し、常任理事会に提案され了承されました。 1.事業推進中期目標策定の基本方針について 2.事業改善の中期目標について (1)ICT化に対応した事業改善を図る (2)地域における教育メディア利用の活性化支援事業を進める (3)ブロック化等組織体制の未直しと他団体連携協力による事業を行う (4)事業改善の段階的継続的な取り組みを行う ◆文部科学省情報 平成23年度教育の情報化関係予算(案)について(文部科学省生涯学習政策局参事官(学習情報政策担当)付参事官補佐 妹尾 剛)平成23年度の文部科学省所管一般会計予算案総額は、対前年度△0.9%の5兆5,428億円。 人(ヒューマン)・知恵(ソフト)を育成し、国民の未来に対する希望につながる施策に重点化し、我が国の成長の原動力である「強い人材」の実現を図るための予算内容としたことが特徴。 特に、平成23年度概算要求においては、政策決定の過程に広く国民の皆様からのご意見を反映させるため、新たに「政策コンテスト」の手法が用いられ、これに伴い実施されたパブリックコメントでは、全府省189項目に対して362,232件の意見が提出される中、文部科学省より要望した10項目へは283,448件もの意見(未来を拓く学び・学校創造戦略[学びのイノベーション事業]3,130件)が寄せられた。この結果、補正予算等とあわせ、要望総額の9割を超える予算額が計上された。 生涯学習政策局参事官(学習情報政策担当)における平成23年度予算案の内容は、以下のとおり。 ○「学びのイノベーション事業」(新規) 【300,000千円】 ○「教育用コンテンツ奨励事業」(継続)【27,037千円】 ○「ICTの活用による生涯学習支援事業」(継続) 【50,113千円】 ◆特集 地域を学ぶための自作映像と利用体制 映像利用をめぐりふたつの大きな変化が進行しています。 唯、動画を視聴するだけの時代から、誰もが動画情報を発信し受信でき、良きにつけ悪しきにつけ、2、3年前には考えられなかった伝播力を持つようになりました。このふたつの事象は、今後の視聴覚センター・ライブラリーの役割・機能を考えるひとつの機会になるように思います。 平成7年、当時の文部省生涯学習審議会社会教育分科審議会教育メディア部会報告「時代の変化に対応した地域における教育メディア利用の推進体制の在り方」の中で示された、視聴覚教育関係施設三つの機能@研修・学習機能A教材提供機能B情報・研修機能と照らし合わせてみると、当時と大きく変わってはいますが、今日的なメディア環境や利用状況の中でも、視聴覚センター・ライブラリーの存在価値を確認することができます。 そのキーワードは、地域という枠組みの中での自作映像のアーカイブ化と提供であり、映像づくりや利用を学ぶ機会の提供、さらに映像作品の鑑賞を通じて心情を育む無形の学習機会の提供です。 そこで、地域における映像教材の自作の現状、そしてそのアーカイブ化、伝統的な事業である映像作品の提供という視角から、これからの視聴覚センター・ライブラリーの在り方を考えてみましょう。 1.都道府県別自作地域録画教材の保有状況 資料1.自作地域映像教材保有本数
資料1は都道府県別に見た自作録画教材の保有総数であるが、自作録画教材と言っても、その内容は多様で、すべてが当該地域を素材に制作したものとは言い切れないが、その大半は市販映像作品にはない地域独特の教材であることは、各県等で行われる自作視聴覚教材コンクール出品作品等の傾向から言える。 例えば、圧倒的に保有数の多い兵庫県の大多数は、ご存知の篠山市が占めているというのが事実で、同じ事が他県にも言えそうだが、目指したい事は愛知県の様に、豊田市、岡崎市、豊川市その他数箇所が、かなりの自作録画教材を保有し利用されているケースである。 重要な事は、県内のセンター・ライブラリーがつながりを持ち、情報交流し、自作地域映像教材の充実を図る方途を共有する事が、地域の方々にセンター・ライブラリーの存在価値を高めることにつながると思わる。 2.自作地域録画教材のアーカイブ化 資料2.自作地域録が教材アーカイブ化率 ここでは、自作地域録画教材に絞っているので、他のデジタルコンテンツは取り上げていないが、数的にはここで取り上げた市町村より、かなり多くの保有数とアーカイブ化を図っている所がある事をつけ加えておきたい。 3.自作地域映像教材の制作体制 ここで問題になるのが、それらの地域録画教材をどのように整備するかという問題であり、仮に制作するにしても、埋もれている古いビデオテープや8ミリフィルムを収集するにしても、その体制が整っていなければならない。 資料3のグラフを見ても分かるように、教材を制作している・いないに関わらず、制作委員会を設置するなど制作の仕組みが整っている所は38箇所あり、そのうち20箇所で地域のボランティアや、施設の講習等を修了した方々の協力を得ている。 資料3.映像制作の方法(複数回答可)
4.映像教材の提供と利用 資料4.16ミリ映画教材貸出数ベスト10 全国的に見ると、貸出数は減少しているが、その要因は改めて述べなくとも理解されていると思う。 しかし、担当者ひとりではできない事であり、前項の地域映像制作体制の調査結果に事業推進のヒントがある。 5.録画教材の利用 資料5.録画教材貸出ベスト10 これらの利用背景には、それぞれ上映ボランティアグループの活動があるように推察できる。 ◆第9回全国こども科学映像祭入賞作品決まる
(財)日本視聴覚教育協会主催による第9回全国こども科学映像祭の入賞作品が決まり、去る2月5日(土)日本科学未来館みらいCANホールにおいて表彰式・上映会及び記念講演が行われました。 この全国こども科学映像祭は、こどもたちの科学への関心を喚起し、カメラの目を通して科学の楽しさ・素晴らしさを理解させ、こどもたちの ”科学する心“を育むことを目的とした世界でも珍しいこどもたち自身が作った映像作品のコンクールで、今年で9回目となります。 毎年優れた映像作品が出品され話題となっていますが本年度は次のような作品が受賞しました。 同 中学生部門 ○優秀作品賞 小学生部門 同 小学生部門 同 中学生部門 同 中学生部門
◆えすけーぷ◆全視連改革を打ち出し、無理のない段階的な改革を事業計画に組み込んだ、講師派遣事業、拠点研究等は一応の成果を上げる事ができました。ただ、講師派遣事業などは情報が浸透せず乗り遅れた団体もありました。次年度ぜひと申し上げたい。◆また、改革のもっとも重要な理由であった負担金問題についても引き下げを実施したのですが、退会する加盟団体が幾つかあったのは残念でたまりません。退会する加盟団体内の地域のライブラリーは存続しており、今後無縁社会ならぬ無縁団体としてどう活動してゆくのか心が痛みます。 ◆年度末を間近に控え、専門委員の方々の協力を頂き、担当者ハンドブックや拠点研究のまとめに頑張っています。 ◆時報も隔月発行となりましたが、活字情報の良さにネット情報のよさを補完しながら情報影響を充実させていきたいと考えております。(M) メールマガジンバックナンバー Copyright (C) 2011 National Association of Audio-Visual Techniques
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